売上達成出来ない時の自腹は本当にあるの?
アパレルのイメージは、華やかでオシャレで奇麗な仕事と思われがちですが、その反面、売上をあげるためのノルマが大変だと思われている方も多いと思います。
私が勤務していたショップも、売上をあげるために、個人ノルマなどもありました。
アパレル全盛期(デザイナーズブランドがめちゃくちゃに売れていた頃)は、販売員のかっこよさといったらなかったものなんです。
憧れてアパレルの門をたたいたけれど、ふたを開ければ、実はかっこいいとか、キレイとかオシャレとか、そんなイメージは吹っ飛ぶような現実世界がまっていました。
売上が取れないと自腹を切る事が暗黙の了解の雰囲気がなぜかあったんですよね。
そこまでしてでも売上をとる姿勢を見せろというような雰囲気です。
個人ノルマの重圧
年間を通してそのお店の予算が与えられるので、ひと月毎に予算を組んでいくのですが、それを達成するために、一人一人が売上を作っていかなくては、予算達成はあり得ません。
当たり前の事を言ってますが、本当にそれにつきます。
お店によりますし、店長の方針や会社の指示にもよりますが、個人ノルマはある所が多いと思います。
私が店長をしていた時も、初期の頃はがっつり個人ノルマがありました。
これは会社の方針で、月の頭に個人ノルマを一人一人に伝えますが、この瞬間の微妙な空気感が、たまらなく嫌でした。
特に店長は予算組をする時に、自分のノルマを一番高く設定します。
他にする仕事が多い中、予算まで高いのですから、このノルマの重圧は、かなりのものでした。
だからと言って、個人ノルマを設定しないと、きっと誰かが売ってくれる、店長が売ればいい、とにかく1点だけでも売っておけばいいか等と、目標を見失いかねないと思っています。
でも、個人ノルマのせいで、お客様を奪いあったり、重圧に押しつぶされるとお店の雰囲気もギスギスしてくるし、何よりみんなの笑顔が失われて行きます。
本音は、ノルマは嫌なんですが、個人ノルマはあった方がいいというのが私の意見です。
よく、10円ハゲを作っている店長を見かけました。
運良く髪で隠せていますが、かわいそうで仕方なかったです。
私はハゲたことはないですが、胃痛は毎日していましたからね。
これから店長になる方、なりたいと思っている方は、売上の重圧はかなりのものなのは、覚悟しておいた方がいいと思います。
閉店間際のせめぎ合い
重圧があるといいつつ、1日の売上というよりも、1月の売上がトータル達成出来ればいいので、たとえ1000円の日があっても気にしないようにしていました。
怖いのは、1000円の日が続く事もあるという事です。
ちりも積もれば何とやらで、売上が低い日が続くと、それを取り返すのは3倍にも5倍にも膨らんで行くわけです。
月も半ばを過ぎる頃、そんな悠長な事を言っている場合でなくなってきます。
例えば自分が早番で出勤していた日に、売り上げが上がっていなかったら、早番で帰ることは出来ませんでした。
店長として帰るわけに行かないんですよね。
もちろん他のスタッフは早番で帰ってもらうようにしていましたが、たまにサブが店長が休みの日には気にして、残ってくれたりしていました。
お昼頃まではまだ気持ちにも余裕があり、馬鹿話なども交えながら、淡々と仕事をこなして行けます。
小休憩の頃には、胃痛が起こり始めます。休憩から戻ったら何か爆発的に売れているはず!という期待をしつつ、戻ってみると・・・
お財布の中の現金を数え始めてしまう自分がいました(汗)
閉店間際、私は、陳列された商品を物色しはじめ、鏡の前で合わせ始めます。
それを見て見ぬ振りをするスタッフに、「これ売れてないから着たら売れるんじゃないかな」と同意を求めると黙ってうんうんとうなづくので、そのセーターをじーと見つめる私の顔は、どんなものだったのでしょうか。
店内アナウンスが流れ始めた時、私はおもむろに財布を取り出し、スタッフにお金とセーターから取り外した値札を渡します。
スタッフがそれを持ってレジへ向かい、神妙な顔でおつりを私に戻し、「すみません、ありがとうございます」と苦しそうな顔で私を見るんですよね。
この閉店間際のせめぎ合いは、1日の中でもっとも緊張する瞬間です。
閉店間際の「売れてる時」「売れてない時」の顔は、551の豚まんのCMのように両極端な風景が流れているに違いないのです。
予算達成の喜び
苦労ばかりのように書いて来ましたが、売れに売れる日もあるんです!
これが水物、ふたを開けるまでわかりません。
もうこれ以上、今日は売れなくていいよ〜!と言っても売れるんですから、顔がほころぶほころぶ。
スタッフの顔もほころぶほころぶ(笑)
8の苦労より2の喜びの方が実は大きくて、やっぱり売れると、アパレルで頑張っててよかった〜と思えるんですよね。
ある年のショップオープンの日に、これまでない売上を出しましたが、閉店直前にキリのいい数字にあと1万円というところで、財布からお金を出そうとした時に、百貨店のバイヤーがニットを1枚買ってくださいました。
結局は、これも自腹で予算を達成させたようなものですが、嬉しかったですね、バイヤーが自腹してくれた事が(笑)そうやって売上予算をクリアすることにみんな必死なんですよね。
一度景気がつくと、スタッフもみんなノっているので、そうゆうときは連鎖反応で売れたりするんです。
ショップ内は活気に溢れ、いつになく皆がキラキラしていて、一体感が生まれるんです。
こうでないとなあとしみじみ思うのです。
売上記録を更新すると、普段売場に顔を出したりする事ない本部長とか、社長とか顔を出したりして、来なくていいよ!と心で思いつつ、鼻高々ですよもう(^^)
売上ノルマや自腹は本当にあるのかのまとめ
売上ノルマはやはりある所の方が多いという事と、自腹は強制ではないという事は言えます。
しかしながら店長という立場で、売上ボーズだけは免れたいという責任感で自腹をしてしまうのも、私としては否定できないと思っています。
でも残念ながらそれはあまり意味のない事だとも言えます。本当の意味での売上実績ではないからです。
最近では、ノルマが嫌で就職率が低いアパレル業界としては、ノルマありませんよ〜という前ふれで求人を出している所が多く、楽しく販売♪みたいなところを目にしますが個人ノルマは課した方が前に向けて進めるし、予算を達成した時の喜びは、並大抵のものではないんです。
ましてや自分の売上が店で一番だったりすると、もっと嬉しいですよ。
一度味わうと、予算達成のあの感覚はやみつきになります!
達成感を味わえるのは、やはり売上ノルマという目標があるからなんですよねきっと。
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