公開初日観てきました。
元々藤井監督ファンのわたしは、映像の美しさも期待していました。
とにかく面白かったです!
サスペンスというよりは、ヒューマンな映画だと思いました。
正直、ストーリーを知っていても泣けます。
ラストシーンの意味や、好きな人ができたとは誰のことなのか等、ネタバレ感想です。
★★★★
ネタバレなので知りたくない人はスルーしてね
- 映画のラストシーンの意味
- 鏑木が好きな人ができたという相手はだれなのか
- 相関図
- なぜ逃走をしたのか
- 主人公以外の見どころ
正体の結末とラストシーンの意味は?
結末は、台詞が一切なく、ただ登場人物の表情から読み取るしかない感じで終わりました。
鏑木の背景は光に包まれているシーンを観て、無罪を勝ち取ったのだと判断しました。
真犯人が罪を認めたのだと思います。
そういえば、藤井監督の映画で「新聞記者」も結末ラストシーンは言葉がなく、こちらに委ねられました。
観ている人に委ねているんですね。
結末とラストシーン
343日間、逃走を続けていた鏑木の結末は、追ってきていた刑事に撃たれてしまいます。
又貫ではなく、又貫の部下にです。
そのあと、裁判シーンで鏑木は立って歩けるくらいになっていたので、命にかかわる急所には当たらなかったのです。
あの距離で、腕のいい刑事なら一発で急所に撃ち込んでいたでしょう。
結局、警察に連行される結末となりました。
そしてラストシーンは、裁判で判決がくだされるシーンです。
映画の中では、判決シーンは台詞が聞こえない世界になり、光と人々の表情だけで表現されています。
そう、観ている人に結末は任されたのですが、無罪と言い渡されたと思います。
ラストシーンは、鏑木が光に包まれるように輝いていたので、それ以外考えられないかと思っています。
冤罪もいいとこ!
警察の闇深いな
だってそもそも、又貫は、鏑木は犯人ではないのではと、刑事部長に言っていたけど、結局、刑事部長が、犯人は鏑木で決まりと頑として耳を傾けなかったんですからね。
鏑木は犯人ではないのではないか?
いいよ、犯人は鏑木にしてしまえ!
警察の闇を感じますね・・・。
そういえば、藤井監督は、新聞記者でも、政治家や警察の闇を描いていました。
サラッと監督は、日本の闇を私達に投げかけていますよね?!
判決後、鏑木はやっと、本当の自分にたどり着けたのではないでしょうか。
ここのシーンで、すすりなきが映画館に響き渡っていましたよ。
私も、泣いちゃいました!
いや、いろんな人と関わって、初めての経験を通して成長したんですね。
これは泣けます。
鏑木が、逃走中にいろんな人と出会って関わっていくことで、鏑木は無罪だと信じてくれる人が増えて、鏑木の味方が増えました。
まずは、鏑木が関わった登場人物たちを相関図で観てみましょう。
鏑木慶一をとりまく相関図
- 鏑木慶一:(横浜流星) 一家殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けたが、脱走し潜伏を続ける指名手配犯
- 安藤沙耶香:(吉岡里帆) WEBメディアの社員で鏑木に恋をする
- 野々村和也:(森本慎太郎 )鏑木と同じ職場で働く日雇い労働者
- 酒井舞:(山田杏奈) 介護施設のスタッフで鏑木に恋をする
- 又貫征吾:(山田孝之) 警視庁・捜査一課の刑事
- 井尾由子:(原日出子) 一家殺人事件の唯一の遺族
- 足利清人:(山中崇)真犯人
鏑木が逃走した本当の理由
もちろん、鏑木は自分がやっていないので、唯一の遺族である由子に、自分が犯人ではないと言うことを証明してもらいたいから、逃亡をしました。
ですが、その裏で、正しいものは正しいと証明したいという思いと、正しいものが救われるそんな世界であることを信じたかったんですね。
そして、介護施設で又貫に向かって言った言葉の意味です。
「最初からわかっていたはずだ」
そう、又貫が自分が犯人ではないことは、最初からわかっていたはずなのを見抜いていたんでしょう。
だから、自分の手でその証明をするしかなかったんですね。
施設で育った鏑木は、本当に心が美しい優しい青年です。
逃亡するうちに関わる人すべてが、鏑木の優しさに触れて、一家殺人事件を起こすような人物ではないと言っています。
この世界を信じたかった
外に出て、友達ができて、仕事をして、生まれて初めて人を好きになりました。
鏑木が逃走をした理由は、身の潔白の証明とともに、世界が正しいことは正しいと判断すると信じたかったことだと思います。
そんな緊迫するシーンの連続の中で、ここはぜひ抑えておきたいポイントがあります。
ここはおさえておきたい重要ポイント
・又貫の心の変化
・アクションシーン
・逃走中になりすました人物たち
大きく、この3つのポイントに注目するとなかなか面白さが増しますよ。
特に、横浜流星さんのアクションシーンや、5人の人物に変装していたんですから、面白みありますよね。
また、山田孝之さんも、なかなかにキーマンとしていい演技されていました。
又貫の心の変化
もちろん、横浜流星さんが演じる鏑木慶一の心情や、逃走している意味など、見どころはたくさんあるのですが、その裏で、ここはぜひ観ておきたいなと思うシーンがあります。
何なら、重要人物とも言えます。
割と静かな演技をしているので、見落としがちですが、スポットを少しずらせば、又貫の映画を1本作れそうな感じがします。
又貫を主人公にした映画もありじゃない?
正体の映画の中では脇役だけどね
映画は2時間で収められているので、今回はもちろん鏑木にスポットを当てています。
でも、又貫に注目をしながら観てみると、面白さが増すように思いました。
この映画の重要人物は、実は、山田孝之さん演じる又貫だと思っています。
又貫の心の葛藤、心の揺れ動きに注目すると、この映画がさらに面白くなります。
彼がもし、警察の闇に良心の呵責を感じない鉄のような男だったとしたら、決して光りに包まれるような結末にはならなかったわけです。
又貫は、鏑木が逮捕されたときからずっと、鏑木が犯人ではないのではと、心のどこかでわかっていたんですよね。
逮捕直後に、警視庁部長の指示に反論できず、イエスマンとして鏑木を追い続けていたけど、結局、いつでも撃てる時間はあったのに、2度も撃つことができなかったですしね。
鏑木を追い詰めるたびに、心を痛めていたんじゃないでしょうか。
又貫は刑事として、純粋な人だったんですね。
警察の闇に染まることを選択しなかった事が、鏑木が救われる事になるキーマンだったわけです。
横浜流星のアクションシーン
鏑木が脱走するために、ガラスで口を切り流血させて、病院へ運ばれる途中、警察相手に激しいアクションシーンがありました。
狭い車の中で、激しく警察と殴り合うんですが、実は横浜流星さんは空手の実力がめっちゃすごいんですよ。
このアクションシーンでは、それを彷彿とさせるほど、迫力がありました。
あと、逃亡しているので、走るシーンも印象的です。
しかも、車の上に落ちるシーンなど、かなり映画の中では、アクションシーンが多かったですね。
吉岡は「流星くんの逃亡シーンにびっくりした。大丈夫なの?と思うくらい、心配にもなりました。マンションから飛び降りるし……。スタントもなく、あそこまでやる俳優さんは初めてお会いしました」と明かす。(引用元:映画ナタリー)
スタントなしでやっているのだから、本当に迫力がすごかったです。
共演の吉岡里帆さんもスタントなしでこなすことに驚いていたようです。
鏑木が逃走中に生きた5人
逃走してから、お金を作るために、まずは、大阪の日雇い土木作業員として働いていました。
ベンゾーと呼ばれていて、髭面でメガネをかけてロン毛で変装をしていました。
指名手配犯だと、現場の仲間(森本慎太郎さん)にバレて通報されてしまい、ここから逃走をします。
土木作業から逃走して、次はフリーライターとしてなりすまします。
一家殺人事件の情報を得るために、ライターとして潜伏をします。
那須くんと呼ばれていて、ここで安藤沙耶香(吉岡里帆)と出会います。
めっちゃイケメンですね。
割と素の鏑木慶一に近いですが、ロン毛にしていて髪色を変えています。
ここでも、安藤沙耶香に気づかれていますが、逃走中に唯一、笑顔の鏑木が見れるのは、安藤沙耶香の家にいた時だけです。
ですが、安藤沙耶香につきまとっていた記者に、鏑木であることがバレて、通報されてしまいます。
又貫(山田孝之)に追い詰められましたが、安藤沙耶香が手を貸してくれ、逃走に成功しました。
久間くんとして、水産加工工業で働き始めます。
ここで、絶対に顔を知られてはならないため、まぶたを一重にして、別人の顔にしていました。
この水産加工工業には、一家殺人事件の遺族の由子の妹が働いていたためですね。
そう、情報を得、最終目的の由子の妹のところまでやってきたんです。
そしてとうとう、鏑木の最終的な目的である、一家殺人事件の遺族である由子が入所する介護施設で働き始めます。
桜井くんとして、介護の仕事をしながら、由子に近づき、あの日の記憶を呼び戻し、自分が犯人ではないことを証言してもらうのが目的でした。
聡明そうな清潔感のある青年になりきっていますね。
ここで働く酒井舞(山田杏奈)が、そんな桜井くんに恋をするんですが、最終的に警察に包囲された中で、鏑木の本当の目的を目の当たりにするんです。
一番緊迫感があったかもしれないです。
元々の鏑木は高校生だったんですよね。
ショートヘアで、高校生らしさが伝わってきます。
実際、横浜流星さんは、5人の人物に見た目だけでなく、声色もしっかり変えているんですよね。
5人を演じ分けるってすごいです。
というか、鏑木が4人の別人になりすましているんですから、複雑です。
横浜流星さんの5人の人物の演じ分けを見るのも、要注意で見たいシーンばかりです。
そんな逃亡中の鏑木が、ラスト近くで、初めて好きな人ができたと言っていました。
その好きな人はだれだったんでしょうか。
鏑木が好きな人は誰のこと?
鏑木が初めて好きになった女性は、安藤沙耶香です。
いつの間にか彼女を好きになっていく過程は、鏑木の笑顔にありました。
彼女の家で生活をするようになって、毎晩悪夢にうなされるものの、唯一人間らしい生活をしており、何より、唯一笑顔のシーンがいくつもあった事です。
楽しそうに食事をし、二人で映画を見たり、スーパーで買い出しをしたりと、好きになってしまいますよね。
しかも、彼女は鏑木だと気づいていたのに、鏑木を警察から逃がしてくれた事。
逃げる寸前に、鏑木が呟いていました。
「ありがとう」
そう言って、窓から飛び降り泣きそうな顔で逃走していましたね。
言葉には発せられていないんだけど、口の動きでそう言っているように見えました。
自分を信じて逃がしてくれた彼女をずっと好きなのは、当然の流れでしたね。
そういえば、映画の中で、酒井舞(山田杏奈)が鏑木を好きなのはわかるのですが、言葉にはされていませんでした。
ドラマの正体(亀梨くんが鏑木)では、警察に包囲されている中で、酒井舞が、鏑木を好きだと告白しています。
でも、鏑木は、好きな人がいますと答えているんですね。
そんなシーンは映画にはなかったけど、安藤沙耶香との二人シーンを見れば、言葉などなくてもOKですね!
まとめ
- 結末は原作とは違い、命はとりとめ警察に連行される
- ラストシーンは、無罪判決がでた
- 真犯人は、足利清人である
- 鏑木が逃亡した理由は、身の潔白と正しいことが正しいとされる世の中であることを信じたい一心だった
- 鏑木が好きになった人は、安藤沙耶香である
藤井道人監督の映画は好きで、いくつも観ていますが、正体も代表作の一つになったのではないでしょうか。
原作本があり、ドラマ化もされていたことから、映画ではどんなふうに表現されいてるのか楽しみだったのですが、横浜流星さん、山田孝之さんなど、俳優さんたちが、とっても素晴らしくて、サスペンスといいながら、人と人とのつながり、信頼、愛などヒューマンな印象が強かったです。
まだ観ていない方がいたら、ぜひ観てみることをおすすめできる映画でした。
あ、ちなみにエンディングに流れるヨルシカさんの「太陽」の曲がすごーく合っていました。
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