長澤まさみの新境地と言われる演技が話題になっている映画です。
「 Motherマザー」は何かの賞をとりそうなそんな印象深い映画でした。
早速観てきたので感想を書こうかなと軽く考えていたんですが、結構ヘビーで観ている間中ずっと辛い映画でした。
感じる人で捉え方がずいぶん異なるだろうなって思うような内容なので、映画好きの未婚の女性の目線の感想です。
衝撃の結末の考察もしてみましたよ〜。
映画 Mtherマザーを見た感想が辛すぎた理由を考察してみたよ。
はっきり言うと「ひとつも救いようのない」映画であることは先に伝えておきます。
ただなぜか泣けました。
そして長澤まさみと阿部サダヲがめちゃくちゃにムカつきますwww
辛すぎた感想
始まりから終わりまでどこか漂う退廃感。
見ている間中、ずっと辛くて胸が苦しかったです。
もし今、落ち込んでいる人は、見ないことをおすすめしておきます(笑)
映画としては一切救いがないって、どんだけしんどい映画やって思うんですが、結末を見た時、何か考えさせられることがあると思います。
そしてなぜか涙がでてくるんですよ。
こんなしんどい映画なのに・・・。
映画として感想をいうなれば、キャストの演技がうますぎて成り立っている映画だと思いました。
全体的なストーリーとしては、ちょっと深みがないっていうかただひたすらに苦しいシーンが、並んでいるように感じました。
じゃあなぜ涙がでるかって、息子役をやった奥平大兼さんが、めちゃくちゃいい演技だったからなんです。
この息子役がうまくてあまりに自然で純粋だったから、涙がでたんですよね。
彼の演技をみるだけでも、みる価値は大いにあります。
むしろ母親よりも、この息子の周平に観る人は寄り添うのではと思いました。
日本映画も面白いなって、素直にそう思えましたから。
母親がなぜそんなクズなのか、別れた旦那や両親はちゃんとした印象なのに、なぜんだろうという背景が一切見えなかった部分が、残念だったように思います。
何がそんなに辛くなるの?
じゃあ何がそんなに辛いのかっていうと、実の母親がクズすぎるからです。
とにかくクズです。
言葉が悪くてすみません(汗)
でもこの言葉がぴったりなんですよ。
まだ11歳の息子の目の前で、ゆきずりの男に溺れまくります。
DVされまくる母親を見ながら、少年は母親をかばおうとするんです。
とにかく母親が、金、男に溺れて働かないし、その場その日暮らし。
ゲーセンで出会ったゆきずりの男と自宅へ戻り、そのままずるずると関係を持つ。
子供にカップ麺を買いに行かせ、お楽しみにふける。
子供は承知しているから、じっと外で待っているというような生活をしています。
役所の男とも関係をもっているようで、新しくできた男と大阪へ旅にでるために、息子を役所の男におしつけて1週間も家を空けてしまいます。
電気やガスもとまった家で、ずっと帰りを待ち続けるんですね。
「なんで?」
ねえ何で逃げ出さないの?
なんで母親の言うことを聞いてしまうの?
母親はなんでこんなに男にだらしないの?
どうして働かず、息子に祖母のところへ金の無心に行かせられるの?
ずっとみている間、なぜ?と問いかけたくなる映画だったんです。
それが共依存という一種の病気のようなもので、親子がつながっていたことが悲劇を生みました。
こんな最低な親いるの?ってくらいひどいです。
共依存という恐怖
クズの愚行を見ていると、もしや児童虐待?とか思ってみていたんだけど、そうじゃないんです。
なんと、自分の子供を愛しているという、歪みすぎた愛情を持っているんです。
これを共依存というんですね。
共依存とは?
依存先を独占することで相手を支配すること」だと理解しております。私にだけ依存しなさい、みたいな立ち位置といいましょうかね。
“あなたのことを支えられるのは私だけですよ”とか、“あなたのことを本当に理解しているのは私だけなんだ”というような振る舞いのことです。これってすごく怖いことで、まさに暴力の一歩手前なんですよね。
引用元:gensai-is media.jp
母親が小さい頃から、息子に依存するのは自分だけに、という育て方をしてきたんですね。
学校にも行かずに、母親の言うことだけを聞いて生きてきた少年は、どんな劣悪の環境だろうと、助けてくれようとしている人が現れても、母親を選んでしまうんです。
ここが辛くて仕方ないし、共依存とはなんと恐ろしいんだろうと思いました。
結末についての考察
ラストは、母親の顔のアップで終わります。
息子が殺人を犯し、12年の判決が出た後のシーンです。
福祉の人が、息子が「お母さんを好きだ」と言っていたと告げた後、静かにうっすら笑いました。
えっ?!
そう、母親は、まだ息子は自分の分身であることを、確信したんですよ。
息子が刑務所に入ったのは、母親の両親(祖父母)を殺害したからです。
これは母親が息子に命令したものです。
金欲しさにですよ。
そして有無を言わせず息子は、祖父母を殺害してしまいました。
本当になんの感情も爆発させずに、母親に言われたから、やるしかないんですよ。
そしてそれは、自分でも母親のためにやるべきなんだと、思い込まざるをえないからなんです。
お母さんが好きだからです。
17年間ずっと、友達もいず、学校へも行かず、母親のそばで母親の言うことだけが、真実と思い込んで生きてきた。
物心つく頃には、それが人間としてまともなことじゃないのは気付いていたけど、すがる母親を捨てることができない。
共依存だからです。
福祉の人が、お母さんと離れて暮らすこともできるし、大人になるのは楽しいことだと教えてくれます。
心は動いているんだけど、母親が何か言えばその気持ちも閉ざしてしまう。
これは病気ですよね。
福祉の女性が、刑務所で面談するときに「ずっと間違っていた」と言います。
ずっとわかってはいたんですね。
ただ、どうしても母親の呪縛から逃れることができないように、されていたのです。
そこに実の親子という、母親にたいする愛情があるから、余計に救いようがなかったんですよね。
子供の育つ環境って、すっごく大事っていうのがよくわかりますね。
自分の息子をどう育てようと、勝手だと事あるごとに叫んでましたが、この母親をなんとかしないと、出所してきた息子にまた同じことをすると思います。
息子の人格はなかったものと同じ状況ですよね。
本当の恐ろしい病気ですね。
福祉の人たちが、それを制すことができるとは思えない終わり方でした。
演技派が揃ったキャストと役について詳細と背景は?
何度か言いましたが、この映画がすごいのはキャストの演技力です。
特に、長澤まさみさんが取り上げられていますが、何よりも息子役の奥平大兼さんが素晴らしかったです。
長澤まさみ(秋子役)
長澤まさみさんと言えば、明るいキャラクターで、きれいな役が多いので、今回の演技で新境地を開いたと言われています。
ここまでのクズな女性を、演じたことはなかったですね。
今でも「周平」とよぶ声が、耳から離れないくらい、爪痕は残されましたよ。
男を誘うシーンも、色っぽくてだらしなくて、なんか心底嫌いになりましたから(笑)
ホームレスになりながらも、白髪が増えたことを気にして、鏡を見ているところなどは、生々しかったですね。
この映画を見ていて、長澤まさみさんにどうしても見えてしまう部分もありますが、今までのイメージとは正反対な役柄で、演技力を絶賛されています。
確かにすごかったけど、鬼気迫るものはあまり感じなかったかな?
きれいすぎるんですねw
どうしても長澤まさみに見えちゃう(汗)
でも、きっと何かの賞を取りそうな予感は、沸々としています。
役柄のせいかちょっと丸みを帯びている体つきになっていました。
これも役柄のためにそうしているなら、すごい女優魂ですね!!
奥平大兼(周平役)
17歳に成長するまでの前半は、子役の郡司翔さんが演じています。
17歳になってからの後半を、奥平大兼さんが演じています。
この二人が、ほとんどセリフがなくて、目の動きと歩き方とかで表現していて、本当にすばらしかったのです。
奥平大兼さんは、この映画がデビューという、大抜擢された新人です。
どことなく雰囲気が、柳楽優弥さんに似ていると思いませんか。
「誰も知らない」という映画でデビューをして、カンヌ国際映画祭で、史上最年少で受賞をした俳優です。
何か秘めている感じと、どこかものさみしさと、芯の強さみたいなのが、似ているなあと思いました。
目の寂しさが似てるのかな。
そう思ってみると、役柄も共通点があるように思いました。
とにかく、どん底を生きているんですよね。
セリフが少ないのに、ここまで表現力が豊かなのはなぜ?
演技の勉強をしていたわけではないとのことなのに、天性のものと思えます。
周平の人物像が、セリフが少ないのに、見えてくるところに感動をしてしまいました。
お母さんを好きなのは本当だと思うし、でもその半面で学校へ行き勉強もしたい。
でも、母親をほおっておけない。
自分がやらないと、母親も妹もダメになってしまう、という思いが痛々しいほど画面を通して、伝わってきたんですよね。
誰に対しても、冷静沈着でまじめで優しい子なのも、伝わってきて涙でちゃうんですよ。
ほんと。
周平が、主役といっても過言でないくらい重要な役どころですし、ここが下手っぴぃだったら、ここまで映画が話題になることもなかったと思います。
母親よりも周平に、見ている人の心は、寄り添っていたのではないでしょうか。
新人賞をあげてほしい!
【追記】数々の新人賞を総なめされましたね!
この映画の最大重要ポイントは、周平ですね。
将来がめちゃくちゃ楽しみな俳優ですよ!
阿部サダヲ(遼役)
阿部サダヲさんといえば、クドカン常連の、コメディタッチのイメージが、非常に強いです。
今回の役は、クズのヒモ男なんですが、どこかコミカルなんですよね(笑)
やっぱりご本人の持っている素質なんでしょうか?
大阪のホストという触れ込みですが、どう見てもホストは無理でしょうって普通思いますよね(汗)
よく考えてみると、大阪って結構、「えっ」っていうホスト普通にいます。
だから関西人の私からすると、そこまで違和感はなかったんですけど、違和感を覚える人も多かったようです。
秋子に暴力をふるうところは、振り切っていて、本気の恐ろしさを感じました・・・。
どこかポップな世界が見えてしまう。
有名人すぎたのかなとも思えます。
でもこの映画を無名の俳優でそろえると、本気の本気で救いのない気持ちになる危険性があったので、キャスティングは正解だったのだと今は思います。
阿部サダヲさんすごい~!
振り切れてる~!
くらい思ってみるほうがなんとなく気持ちが助かります!
映画の原作となった背景になった実際の事件とは?映画のあらすじまで
この映画が、実話に基づいたものと言われましたが、ある事件を元に脚本されたものなので、映画とは事実が異なります。
映画の元になった事件とは?
2014年3月、埼玉県川口市で17歳の少年が祖父母を殺害した上、キャッシュカードなどを奪う事件が起きました。少年は強盗殺人容疑で逮捕され、裁判で懲役15年の判決が出て服役中です。
引用元:yahoo news
まだ記憶に新しい事件であります。
17歳の少年が、祖父母を殺害した事件を元に、脚本が作成されました。
この実際に起きた祖父母殺害事件は、1冊の本にもなっています。
「誰も僕をみていない」という本です。
元になった事件は、それはひどい境遇で育った少年が、やっぱり共依存で、母親を悪いと思っていないというところに絶望を感じます。
少年が実母と養父から身体的・性的虐待を受けてきたこと。
小学5年生から学校にも通わせてもらえず、各地を転々とし、時に野宿生活を強いられていたことです。
働こうとしない母親に代わり、少年は後に殺害してしまう祖父母を含む親戚に借金しまくり、生活費の工面をしてきました。
年の離れた妹を親代わりに育てたのも少年だったと言います。
引用元:yahoo news
懲役15年の判決を受けて、今現在服役中です。
もしかすると、娘を母親が引き取って同じことを繰り返してしまう恐怖もありますね。
これが親子愛だなんて、普通に暮らしてきた私には、想像を絶します。
興味ある人は、読んでみてください。
特に同じ年頃の子供をお持ちの人は、すごく考えさせられることもあるかもですね。
少年による祖父母殺害事件——
すべてを狂わせる《この女》、
聖母(マリア)か。怪物(モンスター)か。
ゆきずりの男たちと関係を持つことで、その場しのぎの生活をおくる自堕落で奔放な女・秋子。
しかし、彼女の幼い息子・周平には、そんな母親しか頼るものはなかった。
やがて寄る辺ない社会の底辺で生き抜く、母と息子の間に“ある感情”が生まれる。
そして、成長した周平が起こした“凄惨な事件”。
彼が罪を犯してまで守りたかったものとは——?
引用元:映画ログプラス
この映画のポイントは?
・周平役の奥平大兼の演技
・長澤まさみの新境地
・阿部サダヲの軽いようで怖い存在感
・親子愛について深く考えてしまう
この4つの点が、この映画の、最大の見どころだと思いました。
何と言っても、奥平大兼さんの演技は、本当に素晴らしくて惹きこまれてしまうスター性を持っていることです。
この映画が、デビューだったかもしれませんが、今後の映画も吟味していい映画に出てほしいなと、将来性を期待してしまう、そんな俳優さんに感動です。
やっぱり、長澤まさみさんが、体当たり演技で、女優としての幅を広げたことも話題性がありますね。
いくらきれいでも、年齢を重ねれば、本気で演技がうまくないと沈んでしまう世界だと思うし、これは長澤まさみさんにとってはチャレンジだったのかもしれません。
クズでもきれいだから!(笑)
阿部サダヲさんが、相変わらず個性バリバリで、軽さと重さを見ているだけで、何となく興味を惹くっていうのがすごいと思います。
そして何よりも、映画の本題である親子愛について、考えてしまう問題作品だといえますね。
私は、人の親ではないけど、自分の親を、自分の息子に、殺害に生かせる心理とは何かを、考えてしんどくなりましたから。
この辺りを参考に観ると、さらに映画として楽しめると思います。
ただし、暗い気持ちになるので、心してみてくださいね!
まとめ
- 奥平大兼(周平役)の演技が素晴らしいのでそれを見るだけでも価値がある
- 長澤まさみと阿部サダヲのクズすぎり演技がすごすぎて嫌いになってしまう恐れあり
- 一人で見に行くのもいいが誰かと行って終わってから討論するのにぴったりの映画
- 日本映画も面白いなって思わせてくれる力作
- 映画の元になった事件と映画は別物(インスピレーションを得て映画用に作られたもの)
話題性はあるので、観るのはいいかと思いますが、気持ちが暗くなるのでそのへんは、心して観ることをおすすめします。
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